プラスチックゴミ問題

あっという間に太平洋ごみベルト

レジ袋、食品の包装から家具、電化製品、衣類、車、医療などあらゆる分野にプラスチックが使用されています。
丈夫で成型しやすく、耐水性もあり、他に替えようのない性質を持つ、安価な物質がプラスチックです。
ところで

プラスチックほんとうに安いのか

物の価格が製造と流通の費用だけで安く設定されるのは間違いです。 リサイクル費・焼却費・大気汚染処理費・焼却炉建設費・環境負荷解消費など考えてみれば、 結果的にプラスチックは相当高くつくものになっています。

海の汚染の最大原因はプラスチック

 最近海を見ましたか? 鎌倉でも美しい海は冬にならないと見られません。東京湾と同じような濁った色。
 無限の可能性があるように見える海ですが、温暖化問題に加え、浄化しきれなくなり、酸性化し、 魚も生きにくくなっています。

人の生活や産業から川に排出される汚染物質。海岸から直接入る汚染、船舶からの汚染。 陸から風に運ばれるてくるごみもあります。 汚染の中で最大の問題となっているのがプラスチックです。

プラスチックは腐らないので消えることがありません。 石や金属、石油・石炭なども消化できる生物はほぼいません。海にはPCBやPFOSなど分解できない毒物も 蓄積しています。(油の場合は条件がそろえば消化できる微生物はいる)
プラスチックを消化する生物が見つかったとの報道も記憶にありますが、実用化には遠いことのようです。

プラスチックは石油から造られ、長い炭素の鎖からできています。 紫外線にあたると劣化し、鎖が短くなります。
5mm以下ならマイクロプラスティック、さらに小さい物はナノプラスティックと呼ばれます。 海底に沈んだプラスチックはほとんどそのまま。 水に浮かぶプラが日光に晒され劣化し海に着くまで、海に入ってからも少しずつ砕けていきます。 小さくなると添加物の他、海洋に溶けていた重金属、炭化水素、有機物などを吸着して重くなり 海底に沈殿していきます。

海底は日光が届かないので劣化は進みません。 マイクロプラスチックになったあと、分子レベルにまで分解するかどうかはっきりしてはいませが、
生物にとって有益なことはない。

{フック船長」投稿

マイクロカプセル汚染て知ってる?

道路から、下水から、川から流れ込んであの広い海を汚染しているプラスチックごみ。 拾っても拾っても拾いきれないと泣いていたら、とんでもない強敵に襲われた! その名は《マイクロプラスチック》!!

何と、化粧品・洗顔料・歯磨き粉・洗剤・柔軟剤等に添加されてるって。
化粧するたび、洗顔歯磨きするたび、洗濯して干したりするたび下水から流れ、大気中にばらまかれ、川から海へ、 大気から生き物の体内までも汚染してるって。

田んぼの肥料も、マイクロカプセルに仕込まれて時間差ではじけながら、効くって。 川下の排水溝にはカプセルの残骸が貯まり込んで、海へ!

今流行の香り長持ち柔軟剤もすごいよ!ウレタンやメラミン樹脂の、微小ナノカプセルに人工香料が仕込まれて 、動いたり触れたりするたびカプセルが壊れ香料が匂い、何週間もにおい続ける。
そのたび、香料・消臭成分・界面活性剤・微小プラスチック片などが大気中に拡散されるって

人工香料も「化学物質過敏症」を引き起こす「香害」として昨今問題になっている。 日本消費者連盟の「香害」9千人対象アンケートでは79%が体調不良を訴え、18.6%が学校や 仕事を欠席・退職しなければならなかったと回答しているとのこと。なお「化学物質過敏症」に効果的な薬は、現段階ではないんだって。

みんなも知ってると思うんだけど、匂いってすぐ慣れちゃってあまり感じなくなるでしょ 、だからより強力な香料使用の国外輸入品など求める人も少なくないんだって。嗚呼!

 EUでは、マイクロカプセル汚染が問題になり1900年代後半から使用が禁止され、日本国内でも メーカーの自粛で規制がかけられているとのこと、使う方も賢くなって少しでも汚染を減らしてほしいものだ。

 待っていた春が巡ってきたけど、粉塵やら花粉やらPM2.5の微小な有害物の大気汚染が悩ましい、その上、 微小ナノサイズのプラスチック汚染物質が体に侵入して認知症を促進する疑いなどと、勘弁してくれ~~!

脱プラ、まずは海への流れをストップ

海流の関係でプラごみが集まる海域が以前から知られており、「太平洋ごみベルト」とよばれてきました。
最近になって表面のプラどころではないごみが海底にしずんでいたことがわかりました。
1億5000万トン。そして年間800万トンがあらたに流入しているそうです。

回収できないことを考えると、プラごみへの対策の第一は海に行かないようストップすることです。
○ 日本のプラスチックごみの一人当たり発生量は、米国に次いで世界第2位。ペットボトルの生産量は年間約230億本で年々増加、90%は回収されていますが、 残り10%で23億本も放置ボトルになり、海洋汚染のもとにもなっています。
回収されたものも殆どがサーマルリサイクルなどといって焼却され、大量のCO2を排出し、気候変動を悪化させ、解決策にはつながりません。
○ EUでは、2019年に企業へ【拡大生産者責任】を義務付け、各企業はプラの生産削減にとりくみはじめています。
【拡大生産者責任】とはメーカーに生産からリサイクルまで全ての負担を義務づけるもの
○ 日本では、処分やリサイクルに関る費用の大部分が自治体の税金で賄われるため、企業は軽量で輸送費の安いプラを選びます。 飲料用のガラス瓶の方がリサイクル費用も安く環境負荷も低い。【拡大生産者責任】が適用されればガラス瓶使用も増えるでしょう。 しくみを変えることが重要です。なおガラス瓶については、生活クラブなど生活協同組合がすでにリターナブル瓶など再使用の仕組みを作り、 組合員が有効利用しています

今、増え続けるプラスチックにブレーキをかけないといけない状態が見えてきました。

世界が動き始めた 脱プラ

2019年5月、EU理事会は2021年までに使い捨てプラスチックを禁止する法案を採択しました。
ヨーロッパはもちろん、アフリカでも、カナダでも、インドでも、禁止が広がりました。 2018年6月、日本は「海洋プラスチック憲章」への署名に米国とともに応じませんでした。
「社会への影響の程度が分からなかった」と理由づけましたが、G7サミットでアクショ ンプランが始まり、各国で大規模な規制法が成立しています。

その後の検討で2019年の主要20か国会議を意識し、脱プラへ舵を切りました。
省庁での会議でペットボトル配布をやめたり、グリーン購入法の基本方針を
改定し、やっと「プラスチック資源循環法」まで来ました。

神奈川県は「かながわプラごみゼロ宣言」をしました。
鎌倉市も宣言はしました。しかし人工芝を使うなど、本気の取り組みにはなっていません。

2018年国連は持続可能な開発目標SDGsをかかげました。
17の具体的目標には海の豊かさ、陸の豊かさを守る、飢餓ゼロ など、脱プラを必要とする項目もあります。
SDGsも脱プラも口先だけでなく、具体的な動きにしましょう。


プラスチック資源循環法は機能するか

2022年4月、プラ資源循環法が施行されました。
2030年までに使い捨てプラの排出を25%削減し
2050年には100%リサイクルするとうたっています。

 その目標のためにメーカーに「設計指針」を示したり、再資源化事業計画を作らせると言っています。 また製造者責任として使用済み製品の自主回収をさせ、消費者には分別や排出削減を求めています。
「指針」に合う製品を国が「認定」するという方法に、企業や消費者が納得するでしょうか。

 プラスチック製品は日常的に使われています。強度、効果、感触、重さ、色合いなど製造者の何十年もの 研究の中から作られてきた製造物に対し、「指針」がどれだけ説得力を持つでしょうか。

 すでに始まっている使い捨てプラ削減にはある程度効果があり、マイバッグやマイボトル持参者が増えたり、ストロー が減ったりしています。しかしすべてのプラスチックを循環させるには高い壁があるでしょう。

魚が食べる、羊が食べる

由比ガ浜にあがった赤ちゃんクジラ(母乳で生きていた)からもプラスチック片が
海に浮かんだプラスチックを鳥や魚が食べ消化器の働きに障害を与え、 餓死することがあります。海鳥のほとんどが多少なりともプラ片を飲んでいるそうです。
さらに深刻なのが「毒」を吸着したマイクロプラスチックによる汚染です。
プラスチックは基本的には無毒です。 しかし海の生き物はマイクロプラスチックを毒と一緒に「飲み込んで」います。
海は広範囲に、深海まで汚染されています。
今のペースでプラスティックが生産、廃棄されていると2050年には 魚の量を超えたプラスチックが海に集まると推測されています。
地上の生物でもモンゴルなどの草原で草が少ない時期に、プラスチックを食べて栄養失調になる 羊や馬がふえているとの報告がありました。

広い海、広い砂漠は無限のごみ捨て場ではありません。

世界で年間4億tのプラスチックが生産されています

作りはじめてから累計80億t。ごみとなったプラスチックの害は深刻です。 ヨーロッパではプラスチックリサイクルが30%ほどまで進んでいますが、
日本は2割というところです。
主な生産地のアジアとアメリカでは埋め立てまたは放置という状況です。

プラスチックフリーの未来

「燃やす」はダウンサイクル

プラスチックは再生できます。同じ種類を集めたものほど再生しやすくなっています。
余りにも多種多様な製品があることが再生の妨げになっています。
製品の違いを増やし過ぎないことがこれからの社会に必要なことではないでしょうか。
再生が大変な場合でも、少なくとも油にすることはできます。


それはつまりダウンサイクルです。 石油を燃やすことと同様温暖化につながります。

それでも都市型の日本の清掃工場でプラを燃やすことは
海に沈めるよりは良いと思います。



今や私たちの暮らしはプラスチックなしには成り立たないところにきています。
けれども必要以上の使い捨てプラが多すぎます!!

消費者が過剰包装を断ることも大事ですが、生産者が「容リ法」に留まらず
製造・流通・回収などについて拡大生産者責任をとる方向へ改革する必要があります。

身近なところからも予期せぬプラごみが・・・

2020.12.18
 レジ袋有料化から始まったプラごみ削減の流れは、ペットボトルも減らすという方向にもなり、鎌倉市では本庁舎では自販機でPボトルを売らないなどの措置をとりました。
街でも、プラのストローやカトラリーを提供しなくなったお店もあり、ウオーターサーバーの設置も見られるようになりました。
けれどもこのコロナ禍で、テイクアウトが増え衛生上の観点から使い捨てプラ容器の使用も多くなり、 街や川や海プラ汚染の勢いが止まりません。2050年には、海の魚よりプラごみの方が多くなる恐れも言われています。
商品として贖ったプラごみも多いのですが、知らぬうちに出すプラごみも少なくありません。
  • 花壇の花や庭木を縛るスズランテープ 
  • 工事後に残る破れたブルーシート
  • 桜の幹に貼られ風に吹かれる養生シート
  • 鴉に突かれて、破れ散る有料ごみ袋
  • 浸水を防ぐために積まれてそのまま放置され、破れ散らばった樹脂製の土嚢
  • 引きずられたり、ぶつけられたりして細かく砕け散った発泡スチロール製のトロ箱
  • 合成皮革のカバンや靴が、経年劣化で、破れて剥がれ落ちた切れ端
  • 靴底や靴のかかとが砕けたり、すり減ったりした破片
  • フリースなどの合成繊維製の衣類の、洗濯で抜け落ちる繊維のくず
  • 農地などで放置されたままの使用ずみマルチや、プラの苗ポット
  • テラスや公園やサッカー場などで敷き詰められている人工芝のくず
などなど。街角ウオッチングするとまだまだ見つかります。あなたもウォッチングしてはいかが
マッさん、鎌消連で問題提起2019.5

  1. 最近の困った環境問題
  2.  地球を汚染するプラスチックごみ / 世界中の氷河の溶解と後退 / シロクマやアザラシの生存不安 / 永久凍土溶けて広範な森林火災  / 海亀など海洋生物のビニール禍 / 太平洋の島々に大量ペットボトル打ち上げ / 海に漂うプラごみ / 深海に溜るマイクロプラスチック / 由比ガ浜に漂着の赤ちゃんクジラの内臓からプラごみ!
  3. 海洋プラごみの現状
  4. 世界では800万t/年以上が海に流出→毎分ごみ収集車1台分、30年後2台分、50年後には4台分
     流出は主にアジアから。中国・インドネシア・日本の合計で、推定488万t/年
  5. マイクロプラスチックの問題
  6. 近年、海鳥や魚介の体内からのみでなく、人の排泄物からも検出
    マイクロプラスチックに有害物が蓄積し、周りを汚染する
    広大な海から、マイクロプラスチックを回収することはほとんど不可能
  7. 日本のプラごみは今
  8. 日本人一人当たりのプラごみ排出量は903万t/2017年で、米国に次いで世界第2位
    日本は廃プラ処理を中国に頼り輸出入禁止の措置を受け、国内に廃プラが溢れ困窮している。
  9. どうすればいいのか?
  10. 使い捨て文化が未来を閉ざす、その危険性を人々にアピールしていきましょう
    外国では、環境を守るために行動する人々が増え、若者たちも立ち上がっています
    日本の若者には無関心派が多いと残念に思っていましたが、都立大山高校や鎌倉市立小坂小学校
    のように、考えを深め行動している例もあります。日本の若者にも期待したい!!
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