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位置条例を否決

                             2023/2/20 
 2022年12月26日、鎌倉市議会本会議は深沢移転のための位置条例を否決しました。 可決には三分の二、18人以上の賛成が必要でしたが、賛成16、反対10でした。

二月一日付けの「広報かまくら」は否決を報じたものの、市民の声として「情報共有が不足、動きがわかりにくい」 などを上げ、方針の見直しには言及しませんでした。
 市長は1月の記者会見で「発災時に司令塔となる本庁舎の建て替えは待ったなし」と主張。議員と個別に対話を進め、
6月議会に位置条例を再提案するとしています。
 司令塔が建築物として頑丈であれば災害が防げると考えているのか? 津波の恐れがある海岸近くに避難場所を用意するとか、 がけ崩れ対策を進めるとか、避難所となる学校を改修するなど「国土強靭化」での減災。そして世界標準の過ごしやすい避難所にするため の備蓄などを後回しにしているのではないか。
 深沢は鎌倉幕府滅亡のもとになった洲崎合戦場であり、軟弱地盤で、繰り返し水害が発生している地です。建築のためには岩盤までの 杭打ちが必要ですが、いったい何十メートルの杭が必要なのかは発表されていません。交通不便の地でもあります。市役所としては不便 であり、災害時の司令塔にも向かないところですが…。  

資金対策は行政センター等の土地売却か

 2023年2月現在、深沢再開発のために鎌倉市は264億円を支払う予定です。その上、新駅・橋・新庁舎を加えるとおよそ 500億円が見込まれます。それに対し市の積立金は26億円。21年度末の市財政残高を見ても60億円、すでに借りている市債もあります。

 鎌倉市の財政規模は670億円ほどですから深沢地域に投じるだけでも、数十年の間資金を借入れることが必要になってきます。 さらに御成の庁舎を壊して新施設を建てるという計画まで含めたらどうなるのか。次世代に大きな負の遺産を残すことが見えています。

 実は鎌倉市は公的不動産の利活用として深沢行政センターや現庁舎跡地、野村跡地等の売却・貸付・民間資本利用等を予定しています。
総務省が公共施設は人口減を見越して3割程度削減を指導しており、鎌倉市もそれに従った削減を考えています。すでに施設の削減は始まって います。土地建物は市民の財産ですが、松尾市長は堂々と「利活用」(=売却)に賭けています。
 深沢の再開発地では3000人の人口増があるにも関わらず、図書館と学習センターの3割減を基本計画に入れています。 「国の指導」「県の方針」の実行者ではなく、市民の暮らしの実情を知り、何をなすべきかを考える自律的な市政を望みます。

再開発地の今

 JRの所有地には圏央道横浜環状南線「桂台トンネル1.4㎞」の掘削土砂が運び込まれ、積み上げられました。周囲は高い塀で 囲われています。中は見えませんが、積み上げ後にローラーで圧縮したらしく今は平のようです。
 市庁舎予定地は雨の後、あいかわらず水溜りになっています。盛土をしてから工事を始めるとしていますが、 軟弱地盤の対策はどうなっているのでしょう。170億円のうちに地盤対策は入っていないようです。調査はやった のでしょうか。                                    市庁舎予定地は今日も水たまり。
2022年2月の市議会建設常任委員会で本庁舎移転整備について話し合われました。
  • 「周辺道路や交差点が、増える交通量を受け入れられないのではないか」
  • 「緊急交通路指定想定路の整備はどうなっているのか」
  • 「跡地近接の古舘橋は開発後の交通量に耐えられるのか」
  • 「JR跡地から藤沢側に渡る橋の先の、村岡地区住宅の立ち退き等の整備状況は」
  • 「藤沢側の状況は不明」と答弁されたが、本庁の2028年移転開庁など可能なのか」
  • 「地方自治法第4条に市役所の位置変更は住民に最も便利であるように考慮すべき」とある
  • 「公表の予算では不可能。大船駅西口歩道橋建設も、難工事で公表の2倍の出費だった」

  • 委員会の討議では、議員さん方と市職員の質疑応答がかみ合ってないことがわかり、不安に なります。こんなことで、巨額の費用が掛かる事業の推進は可能なのでしょうか。


    深沢に人工芝でサッカー場! 

    プラスチックフリージャパンのメンバーが人工芝使用に反対の陳情を行いましたが、声はとどきませんでした。
    鎌倉市はプラごみゼロ宣言をしている市です。河川流失の多い人工芝(プラスチック)を敷設するのは問題があります。 後日市議会は鎌倉市長が広告塔として建設資金集めをしたことについて猛省を促す決議を出し、市長は陳謝しました。 2022年現在「みんなの鳩サブレースタジアム」として利用されており、市民団体に解放する日も設けているようです。
    同地はサーカスや流鏑馬練習場などにも利用されています。再開発までの暫定利用は良いと思いますが、 公園や広場にしておいてほしいです。

    緑の洞門は閉ざされたまま

    北鎌倉駅のホーム東側中程に昔からある、通称緑の洞門が閉鎖され間もなく6年になろうとしています。
    2019年の15号台風により鎌倉の各地では倒木やがけ崩れが起きました。
    でも緑の洞門は無事でした!19号とその後の大雨にも耐えました。

    2020年2月議会で鎌倉市は「洞門は救急車が通れるよう開削する案で地権者の了解を得たい」と表明しました。
    「洞門を車道ではなく歩道のままで再開してほしい」という市民の声を踏みにじるものです。
    2022年7月現在、具体的な動きにはなっていませんが、雲頂庵が開削への意欲を弱めたという噂があります。

    今までの経過
    2019年10月26日、地元説明会がありましたがそのときの説明は9月22日と全く同じでした。 9月22日の安全対策説明会では①救急車が通れる、②小型車が通れる、③歩行者のみの3案が提示されました。

    これについての意見は
    A 一部の所有権と、洞門の先に墓地を持つ円覚寺・雲頂庵は「市の決定にしたがう」(と言いながら開削以外の選択肢を認めない)
    B 駅裏トンネル安全対策協議会は「開削して自動車道に」
    C 地権者の住民は「子供を乗せた自転車が通れれば十分」
    D 史跡研究会は「文化財を守り散策路に」
    E 近隣住民は「歩ける道として早く復活して」

    435名の近隣住民が「歩行者のみ通行」と「臨時改札口を常設に」と署名提出。
    市民は圧倒的に車道ではなく歩道として再開という意見でした。

    尾根の歴史的価値と洞門の景観を愛する多くの市民が壊すことに反対してきた洞門です。
    市は安全対策を講じようとはせず閉鎖を急ぎ、毎日通行していた近所の人や児童・生徒などは
    交通量の多い県道に回ることを強いられ、危険で不便な日常を余儀なくされています。
    洞門のある尾根は古地図によって円覚寺の結界だったと判明、文化庁も保存が望ましいと表明しています。
    市は洞門を含む尾根の保存を決定、市長は「早期に解決したい」と言っていますが、
    2016年に公約した「人や自転車の通れる仮設工事」も実現していません。
    今年の3月には、広報かまくら誌上で、地権者の一部の円覚寺・雲頂庵に対して丁重な謝罪を表明していますが、
    洞門閉鎖と仮設道路未設により、危険なう回路を通行させられている市民には、何の言及もありませんでした!

    住民の切なる仮設道路設置の願いを阻んでいるものは「週刊金曜日」の記事によれば、
    雲頂庵が、墓地や宅地としての開発をねらい、仮設道路の定着化を恐れ、市に圧力をかけているものと推測されています。
    寺とはなんでしょうか?ほとけとは?衆生の幸いを希求する有難い存在なのではではないでしょうか。

    市は今まで何を努力してきたのでしょうか。調査費、う回路の警備費などに年1000万円以上かけています。
    一日も早く人と自転車が通れるように、崩落しそうなところの補強、補修を行うことを望みます。



    危ない! 無茶な宅地開発!!

    鎌倉の魅力はみどりです。傾斜地が多く、そのみどりは目を、心をやわらげます。横浜市や川崎市にも丘陵地帯 はありますが、その多くが住宅地として開発済で、緑被率が低下しています。神社仏閣の風情も良いけれど、 日々目に入るみどりに元気をもらいます。傾斜地だからがけ崩れが起こったり、台風の時には倒木も起こります。
    鎌倉市には「急傾斜崩壊危険区域」の指定が2022年4月現在409箇所あります。該当するのに未指定の地域もたくさんありそうです。 そんな急傾斜地に家が建つことがあります。傾斜しているが広い敷地の真中にお屋敷が一軒建っていた場合、 過去の経緯で市街化調整区域にならなかったら、数件の住宅に変貌してしまいます。
    近所の住民は「危ないねー」「怖いねー」と言ってます。 見晴らしの良い高台に魅力を感じる方に御忠告。2019年の15号台風では倒木と崖の崩落が多数ありました。
    家を買う方は十分調べてからにしたほうがいいでしょう。

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