鎌倉市のごみ事情

名越のごみ焼却はあと1年 鎌倉のごみを県外へ!

鎌倉市ごみ行政迷走中 ごみは何処へ?

                       2023.2.21
 名越クリーンセンターでのごみ焼却があと一年で終了になります。
市民が出す「燃やすごみ」は少しずつ減り、年間二万7千トンほどになっています。市長は来年名越が停止しても「他市の焼却炉が 余っているので鎌倉には焼却炉は建設しない。鎌倉は歴史と文化の都市だからごみ処理をする場所はない」としています。
逗子の焼却炉に余裕があり、来年から年1万トンを引き受けてもらえることになりました。残り1万数千トンの処理先はまだ見つかっていません。
 清掃担当課は神奈川県全域の自治体にお願いしたと思われますが、逗子以外は引き受けてくれないため、民間委託に舵を切りました。
しかし民間でも県内には業者が見つからず、ついに千葉県(市原・成田など)か静岡県(富士宮)などの会社に打診しているようです。 いずれも高速道路を利用して往復2~3百㎞近く2~3時間ほどかかる長距離輸送です。
想像してみましょう。毎日高速道路や海ほたるに鎌倉のごみを積んだ車が走るのを。CO2出し過ぎ、エネルギー無駄遣いの極まり。

 松尾市長初当選時に、生ごみのバイオガス化施設を「ハコ物」としてストップさせたところから問題がおこっています。
その後市長は「ゼロウェイスト」を掲げ、紙おむつのリサイクルや生ごみの不衛生処理(久喜宮代方式)をすすめるとしています。 ゼロは耳障りの良い理念ですが、現実的な政策ではありません。
ごみ処理は自治体の基本的業務。10年先、逗子市の炉が寿命を迎えることも分かっており、鎌倉に処理施設を作るべきでしょう。 市民一人当たり年19000円の経費をかけています。他市より多額。民間に適正処理を委託できないなら、市有地に建設をはかるべきです。

中継施設整備は?

ごみ処理広域化実施計画では市外への搬出のため中継施設整備が必要とされています。 名越がその予定地ですが、解体と建設に2年がかかるとされており、建設までは今泉クリーンセンターが 中継地として予定されています。中継施設は臭気の少ない施設とするとは言っています。
現在は事業系ごみの中継施設になっています。鎌倉中の燃やすごみを今泉に集め、その後大型トラックに積替えて委託先に運ぶのです。
 今泉C.C.は一本道の突き当り。道幅も狭く路線バスのすれ違いにも待避所が必要な個所もあり、 一日当たり数十台の2㌧パッカー車の往復や、市外へ委託したごみを運ぶ大型トラックの往来が危惧されます。
生ごみの不衛生処理地にという提案も取り消されず、反対してきた今泉三町内会。中継地としても不適切で、納得しがたいでしょう。

 既に市は、一般廃棄物のうちの事業用のごみを、一昨年の6月以来今泉CCから大型トラックに積み替え、 埼玉県の荒川上流の長瀞近くの寄居町オリックス資源循環株式会社に処理を委託しています。往復4時間余、 260㎞余の長距離輸送です

 松尾市長が、本庁舎深沢移転の根拠の一つとして挙げたように『南海トラフ地震が、30年以内に80%の 確率で襲来する恐れがある』となれば、長距離輸送の道路は寸断され、鎌倉はガレキとごみで埋まる。クワバラ、クワバラ・・・
2034年逗子焼却炉も停止した際は逗子・葉山・鎌倉の燃えるごみ全量を名越で積み替えると市は構想のようですが、町内会未承認です。

植木剪定材処理で不正

2020年8月末鎌倉市は㈱タケエイグリーンリサイクルとの契約を解除しました。 植木剪定材を富士吉田市に運び堆肥化やチップにする事業でした。
受託会社が横須賀市にバイオマス発電工場を作ったことから、市の了解なく横須賀市の工場に運んで 燃やし始めました。少なくとも年4,000万円は会社の経費を節減できていたと考えられます。
遠い地での堆肥化はトータルでCO2を増やすことにもなっていました。
しかし契約解除の経緯などが書かれた文書は「黒塗り」でしか公表しませんでした。いつもの隠蔽体質で。

ごみ減量審議会で「すぐ先に見えている危機」に警鐘。

2021年6月鎌倉市のごみ減量審議会を傍聴しました。リモート会議でした。第三次一般廃棄物処理基本計画はほぼ承認されました。 ただしあと3年逗子市に焼却をお願いするというところまでの話です。
終盤で一人の委員が言っていたことが印象に残っています。
2024年はあっという間です。(燃やせるごみの持って行き場がなくなる)そんなに遠いことではないと警告していました。

鎌倉市のごみ処理経費は高い

一人当たりの年間ごみ処理経費は神奈川県平均11,305円だが鎌倉市は18,578円です。1.64倍。(2018年)
原因はリサイクル率が高いからというのが市の説明ですが…。資源化経費11.5億円は相場より高いのではと思いたくなります。
植木剪定材の件にみるように、名のある会社と特命随意契約を結ぶというのが鎌倉市の手法です。 本当のコストなど調べないで随契し、あとの監督は不行き届きです。
ゼロウェイストというスマートな言葉をかかげ、いち早く先端的な取り組みをしようとします。それが足元を見られるような契約に 結びついてきました。今も生ごみや紙おむつの資源化をテーマにしていますが、値段を問わない委託になっていくことが心配です。 とりわけ焼却施設を持たない自治体になったら、危機ではないでしょうか。
鎌倉市民は税金のほかにごみ袋代年3億円も支払っています。

2020年9月ごみ処理広域化実施計画が発表されました。「ごみ焼却場つくらない」(市長)

計画の第一段階として小規模の生ごみ資源化施設を整備するとなっています。しかし資源化施設は今泉町内会に 断られています。
住民が町会単位で反対すればすぐに計画を変えるというのが今までの松尾市長の姿勢ですから、 施設ができる見通しは立ちません。この施設は広域化の大前提のため、不可能と知りつつ撤回しないのが 市の市政です。
また逗子の焼却炉が寿命となる2034年、「燃やすごみの量は三分の一に」(なる)と広報かまくらには堂々と書いてあります。 食品ロスの削減や、事業系ごみ値上げ、紙おむつの資源化、そして人口減を考慮したとしてもありえない想定です。
広域化計画は削減義務として書かれたものでなく、理念と分担を書いたものです。逗子市にお願いできる焼却量は1万t限度です。 5年限定であとはない。

ごみ焼却炉は余っていない 使っていないものは休ませている

ごみ焼却炉は消耗品。燃やす時間によりますが30年から40年で壊れてくるため、廃炉にします。鎌倉市が逗子市に焼却を頼めるのは、 逗子の人口が増えず、2炉を交互に使ってきたので名越より長く使えるから。2013年には延命化工事をし、年2万トンの処理能力。 鎌倉市の使用料支払いにより逗子の財政が改善するでしょう。
広域で炉を使う方が効率的であるという考えはあります。燃やすものが少なくて、炉をオンにしたりオフにしたりすると炉が消耗します。
家庭ごみを主とする焼却炉の場合、自治体によっては排出予想が大きすぎた炉もあるでしょう。しかし神奈川県に限れば、過剰な炉は 見つかりません。二炉、四炉など複数の炉を持ち、横浜などでは7箇所ほどもあります。
順に壊れてくるので、 古いものから廃炉にしていくことになります。またメンテナンス休止が定期的に行われるので、自治体が融通しあうことは大切です。
鎌倉市は炉を必要としているにもかかわらず、民間に頼るわけで、不適切処理、高額委託料(足元を見られる)、選定不能などが危惧されます。
逗子の炉を活用し、共用するのはよい策ですが、その先二市一町が共有炉を持つことを考えるものではないでしょうか。 災害ごみ以前に日常のごみでも産廃業者委託に頼るしかできないことになります。
生ごみ処理方法は、より合理的なガス化システムが開発されています。過去に 松尾市長はバイオガス施設を否定しましたが、今は技術も進歩しています。
そうした新しい施設を民間企業が作るまで待つのではなく、共に開発していく姿勢が必要でしょう。
「安上がり」を狙い「民間丸投げ」では賢い自治体にならず、結局公費の無駄遣いになるのではないでしょうか。


焼却炉を持たない政策へ私たちの反論

  1. 10年後の人口減は7%に過ぎない
  2. この20年のごみの減り方が続くとすれば25%減。結果2万tまでが精一杯。1万tは不可能
  3. 久喜・宮代方式の生ごみ減容化施設は今泉住民に受け入れられないでしょう。
  4. 事業ごみ受け入れ拒否は観光都市鎌倉の将来を危うくする
  5. 紙オムツのリサイクルはまだ研究中。
  6. 焼却炉は必須の点検整備や修理のための停止もある。今余裕があるようでも間もなく寿命で廃炉に なるところが多い。(最長40年)
    逗子の炉は名越より1年古い。2029年には廃炉。その後の対策はない。
  7. 業者委託となれば不適切処理、高額委託料、選定不能などが危惧されます。

自分のところのごみを他市で燃やせば、他市にCO2や排気ガスが出るのにそれでいいと言い切れるのでしょうか。
道義的には許されないことです。
鎌倉市長は「歴史的文化的に価値ある土地柄、焼却場建設にまわす土地はない」と述べ、建設費もかからないしCO2も 排気ガスも出ないので有利な選択だという表をチラシに掲載しました。 逗子や葉山に歴史はない?<ムカッ>
奈良にも京都にもしっかりした焼却場がありますが、文化都市ではない??

2010年市長交代で廃棄物行政が変わった。

松尾新市長の公約は「ハコものは作らない」
燃やすごみを減らす方法として、前市長時代に政策決定していた生ごみのバイオガス化施設について、 松尾市長は決定を覆しました。「ハコモノ」とみなしたようです。
昭和30年代に出来、1万tを処理していた今泉クリーンセンターについて、住民は早くから廃止を求め, 市長が廃止を認め、2014年今泉焼却炉を停止させました。

残る名越クリーンセンターは長寿命化工事をし、3万t強の焼却を行っていますが、あと4年で 停止を地元に約束しています!

有料化と戸別収集

2014年の燃やすごみは3万6千t。名越地区との住民協定では3万tでしたが、
3.3万tまで許容することをお願いし、残る3千tは東大和市などに依頼しました。
市は燃やすごみ削減のため有料化を提案しました。

議会は15対13という僅差で有料化を可決しました。
鎌倉の環境を愛する会は市民税の二重取りであるとしてこれに反対しました。

2015年春から有料化。確かに一割ほど燃やすごみは減りました。
有料化とセットで提案された戸別収集については、鎌倉の地形上経費がかかりすぎると 市民から批判され、本格実施は見送られました。不法投棄や、容器包装プラスチックなどの無料袋に 混ぜ込むというような例は今も見受けられます。

焼却炉はどこに?

次の焼却施設をどこに作るか。その選定作業は町会長などを集めた会合で行なわれました。
候補地として、深沢地区のみ4か所にと絞られ、最終的に山崎浄水センター構内に建設することに 決められましたが、迷惑施設と敬遠されているごみ焼却場の設置決定までには、 もっとたくさんの市民を巻き込んで話し合うことが必要だったのではないでしょうか。

山崎地区では反対運動が起こり、市長は住民に「無理強いはしない」と答えています。
そう答えられたら住民は撤回されたと解釈してしまいます。

逗子、葉山に期待?

いま予定地が確定していなければ5年後、鎌倉の燃やすごみは処理されないこと になります。鎌倉の環境を愛する会と環境部長との話し合いでは
  1. 逗子市、葉山町との広域連携を進め
  2. 生ごみ減容化施設を今泉など各地区に作るという計画を持っている、とのこと。
葉山町は自前の焼却場を持たないことにし、逗子に焼却依頼し毎
年経費を支払っています。逗子市は、鎌倉市の1/3の人口規模で、
3倍にもなる鎌倉市のごみを引き受けることを市民が納得するでしょうか。



鎌倉市の近年のごみ行政

  •  1996年 ごみ半減宣言。過去7万t/年の焼却ごみが市民の努力で36,500tとほぼ半減。
  •  2007年 市がごみ処理の理念としてゼロウエイストを掲げ、資源化減量化を推進する。
  •  2009年 市は、逗子市との、ごみ広域処理に関する覚書について、解除。
  • 市が生ごみの資源化を図り、バイオマスエネルギー回収施設基本計画を策定。
  •  2010年 市長が替り,バイオマス計画中止、市民の分別努力によるごみ焼却量削減方針に。
  •  2011年 減量・資源化を目指し、ごみ収集有料化や戸別収集の計画を始める。
  •  2012年 ごみ有料化導入のため戸別収集モデル事業を実施。
  •  2013年 家庭系ごみ有料化実施の方針を決定。
  •  2014年 新焼却場建設地として山崎水質浄化センター敷地を選定。
  •  2015年 4月、ごみ有料化実施。戸別収集は中止。
  •  2018年 市は久喜・宮代方式減容施設の今泉設置案を発表、予算化するが議会で否決。
  • 2019年 3月、市長は「鎌倉市は焼却場を作らない」と宣言。
  • 2019年 11月、鎌倉・逗子・葉山ごみ処理広域化計画素案発表。5年間逗子の焼却場を借りる約束。
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